水鳥観察館周辺ではオジロワシや
タンチョウが複数つがい繁殖しており、
ライブカメラや目視によって観察できます。
それだけでなく観察館では毎年、オジロワシや
タンチョウの巣をドローンも利用して観察し、
繁殖の状況や、卵や雛の数などを記録してきました。
(ドローンでの調査は法令に則って許可を取得し、また鳥類の繁殖の妨害にならないように
適切な距離をとって巣を撮影しています。)
2025年のオジロワシについては4月下旬の調査において、
複数の巣で親鳥が巣に座っているのを確認していました。
巣Aの様子 |
巣Bの様子 |
巣の中には餌として運んできたと思われる魚類や、
カモメ類、カモ類といった水鳥も持ち運ばれていました。
今年の3月中頃から釧路・根室地方では
カモメ類などの海鳥を中心に、
高病原性の鳥インフルエンザが検出された
鳥類の死体が多く確認されていました。
そのため巣にカモメ類が運ばれている状況を見て、
オジロワシの親や雛に鳥インフルエンザが
広がらないか危惧していました。
5月頭に再度ドローンで調査を行ったところ、
雛が生まれている巣もありましたが、
親も雛の姿もなくなっていた巣が複数観察されました。
巣A 4月の調査では親が座っていましたが、親も雛の姿もありませんでした。 |
巣B 雛が1羽確認できました。 |
巣C こちらも雛1羽が確認できました。 |
もぬけの殻になってしまった巣でも、
雛が生まれていた巣でも、巣の中には
魚類だけでなく、ウミネコやオオセグロカモメ?
といったカモメ類が持ち運ばれており、
雛に餌として与えていたことがうかがえました。
その後、5月中旬に再度調査を行ったところ、
5月頭に雛がいた複数の巣で雛は確認できず、
巣は空になっていて、育雛中に雛が死んでしまった
と考えられました。
死んだ雛を回収して検査をしたわけではないので、
断定はできないのですが、
多数のカモメ類を含む海鳥から高病原性の鳥インフルエンザが
検出されていた状況を踏まえれば、
餌として巣に持ち込まれたカモメ類も鳥インフルエンザに感染しており、
それが雛にも感染して死亡してしまった可能性が考えられます。
実際に先日、巣の中で死んでいたオジロワシの雛から
高病原性鳥インフルエンザが検出された事例が報道されていました。
https://www.htb.co.jp/news/archives_32160.html
当館で観察しているオジロワシの巣の雛は
全滅してしまいましたが、今日現在親鳥の姿は
冒頭の動画のとおり確認できているものもあります。
一方でタンチョウについては、
観察館から別寒辺牛川を挟んで対岸にある巣では、
4/8から親が巣に座って抱卵している姿を確認しており、
Youtubeでもその様子をライブ配信していました。
しかし現在でもタンチョウは卵を抱いている状態です。
通常タンチョウの抱卵期間は約1ヶ月なので、
本当ならすでに雛が出ている時期です。
おそらく卵が未受精卵(無精卵)であったか、
卵の中で胚発生が進まずに死んでしまった可能性が高いです。
現在でも親鳥は1日に数回抱卵を交代しているため、
卵を温めるのをあきらめていない状況です。
いったいいつ抱卵を中止するのか
これからも観察を続けたいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿